創業130年 『柿渋』ひとすじ
柿渋で染めたストール素敵です! 「木綿布に染めてます。柿渋だけでも良いですが、べんがら(顔料)と合わせると多様な色が出ます。布も顔料も天然です」と冨山敬代(ひろよ)社長はいつも元気。工場の2階は、女子目線の柿渋製品のギャラリー兼ミーティングルーム。「これ、私のお気に入り!」なんて言われると欲しくなります。
柿の木は、茶畑を 霜から守っていた
「今、茶畑に立つプロペラ状の防霜ファン。昔は渋柿の木が植わってたんです。防湿にもなり、お茶農家さんは茶葉を入れる道具に柿渋を塗ってました。柿の木のような落葉広葉樹はお茶の木にとっては土壌が安定するメリットやったんですよ」と冨山さん。品種は『天王柿』や『鶴の子柿』。小さめですが渋の含有量がとても多く高品質。 トミヤマでは、まだ青い柿をタンニン濃度がピークに達するタイミングで摘果し搾汁。大切に丁寧に柿渋のコンディションを見守りつつ、1~5年かけて発酵熟成した数種類の柿渋を調合して安定品質を作り上げています。
日本古来のエコ素材「柿渋」
柿渋は、防腐・防水・抗菌作用を活かして竹や紙、木、布等様々な生活必需品に使われました。平安時代から使われたとの記述もあります。主には染料、塗料、治療薬にも。皮膚の収れん作用や保護の効用で火傷や霜焼け、虫刺されなどに塗っていたようです。 ちーびず女子もオススメするトミヤマオリジナル「おふきさん」は、柿渋の抗菌・防臭効果が継続するすぐれものの布巾。冷蔵庫の防臭剤や、スカーフとして首に巻くと加齢臭にも効果的とか。さらに、トミヤマでは、綿を柿渋で染めた「カキモコ」をブランド展開し、オーガニックコットン使用のクッションや枕、介護用品なども展開。また、建築塗料としての商品もあり、ギャラリーでは様々な色の扉や家具が楽しめます。
「渋柿植樹プロジェクト」スタート
プラスティックなどの石油製品が普及していくにつれ、柿渋の需要は減り、渋柿農園も年々減少。柿の木のような落葉広葉樹は根や落葉が土壌とのバランスも整えるので、そのような木が無くなると崖崩れなどにかかわります。冨山さんは、「農園がなくなると仕入れも出来なくなるから」と、3年前から『渋柿植樹プロジェクト』をスタートし、地域で渋柿の植樹を開始されました。桃栗3年、柿…。時間はかかりますがこの努力が実るように、しっかり応援していきたいと思います。
