京焼・清水焼で鮮やかな食卓を
テーブルを鮮やかに飾る小物の製作やテーブルコーディネートを通じて、京焼・清水焼の魅力に触れ、京都の伝統工芸品を気軽に使って欲しいと、9月11日、ちーびずプラザでワークショップが開催されました。
講師は「おきにのうつわ」。京焼・清水焼卸売業㈱和蘭の三谷幸史さんと、食空間コーディネーターの湯浅靖代さんの夫婦ユニット。普段の食卓を通じて、清水焼の魅力を発信しておられます。
さらに三谷さんは、年に一度の清水焼の大陶器市、清水焼の郷まつりの実行委員長。ちーびずも、毎年タイアップして「ちーびずマルシェin清水焼の郷まつり」を開催し、盛り上げています。
「鮮やかな食卓」やってみたいですね。美味しそうな食事が並ぶ食卓を、家族や友人たちと囲む幸せ。そこに、彩りを添える器や、その場が楽しくなる演出ができると、なお一層食欲も進むでしょう。どんな仕掛けや心がけをすれば良いのか、今日は、じっくり学びます。
それは都に伝わる和の技巧
鮮やかな色彩に、細やかな筆使い。1つ1つがどれも素晴らしく、思わず目移りしてしまいます。
京焼・清水焼のバックボーン
ときは平安京の時代まで遡ります。
平安京造成から作陶が行われ、茶の湯文化・貴族の日用品として重宝された京焼・清水焼。
江戸時代には一層華やかになり、明治維新まで首都であったため、全国から集まった陶工により様々な技術が集結しました。
手作り、手描きが条件。大量生産には向かないものの、オーダーメイドなど小回りの利いた器が作成しやすいことも特徴です。
こういった特徴を持つ京都の焼き物のなかでも、特に清水寺周辺でつくられている陶磁器が「清水焼」です。
かつては清水焼以外にも粟田焼、御菩薩焼、御室焼などといった京都の焼き物がありました。それらを総称して「京焼」と呼ぶのですね。
ちなみに、「陶器」と「磁器」にも原料や焼く温度、堅さなどに違いがあります。傷がついてしまうので、陶器の上に磁器を重ねてはいけないのだとか。気をつけなければ…。
テーブルコーディネートは、私の気持ち
シンプルながら美しく整えられたお手本に、筆者の顔は思わず歪みます。え、難しくない…?
そんな緊張を知ってか知らずか、湯浅さんはテーブルコーディネートが何たるかを語られます。
「テーブルコーディネートはコミュニケーションツールです。食卓を素敵に演出することで、お料理は一層美味しくなりますし、気持ちも弾んで会話も弾みますよね。それに、お食事にお招きする相手のことを思いながらコーディネートをすることは、おもてなしの表現でもあるんです」
ふむ…テーブルコーディネートは自分1人の中で完結するものではないのですね。
「また、旬の食材やお花を工夫してしつらえることで、季節を感じることもできます。今日は9月ということで、お月見をテーマにしてみました。ナプキンが兎に見えませんか?こうした季節ごとの行事を取り入れることで、先人よりの伝統を子供達に伝えることもできるのです。大切なのは料理も装飾も無理せず、できる範囲で行うことです。」
自分のできる範囲で、気持ちを込めることが大切なんですね。そう思うと自然と緊張もほぐれていきました。
テーブルコーディネートの技
まずは道具の確認。お食事に使うテーブルウェア、食器、グラスはメニューに合わせて選びます。テーブルリネンには様々な素材のものがあって、ビニールや撥水加工のものもあります。ランナー(テーブルの中央部などに敷く布)を敷くだけでもアクセントになります。
朝食やティータイムなど、カジュアルなシーンにナプキンを添えるだけでもおもてなし感はグッとアップします!また、色や柄を変えるだけで季節感を表現できるのもいいですね。
次に、フィギュアと呼ばれる装飾物です。主に花、キャンドル、ナプキンリングなど。食卓に置くものなので、背が高い/香りの強い花は禁物です。アロマキャンドルももちろんNG。カードを用意して、メニューやお招きしたお友達へのメッセージを書くのも素敵です!
テーマが大事
これらの道具ですが、適当に置いてしまってはもちろん意味がありません。
まずはテーマを決めるのがコツです。どういう集まりなのか、どういった季節か、行事ならばそれにあったものは何かなど、まずはテーマを決めましょう。
配色も大事
気をつけないといけないコツその2が配色です。
ついついカラフルにしたくてたくさんの色を選んでしまいそうですが、やりすぎは禁物です。
テーマやメニューと相談しながら、3色くらいにまとめられるように心がけましょう。
高さに気をつけて
そしてコツその3が高さです。
花やキャンドル、ナプキンを使って高低差をつけましょう。台を用意してもいいですね。先述の通り、高くしすぎないように注意。
ここまで話を聞いてみると、やはりテーブルコーディネートはセンスだけでなく、ちゃんと理論立てられたルールやマナーがあることもわかってきました。それはちょっと安心。ちゃんと取り組んだら何とかなる気がしてきました。
配膳だけじゃなく、盛り付けにも一工夫。
食材の色と、器の色の関係にも注目。
彩り鮮やかなメニューの場合はシンプルな無地の器に、色の地味なメニューは派手な器に盛り付けるとセンスアップします。
また、盛り付ける量にも気をつけましょう。器いっぱいに盛り付けるのではなく、中央に少しだけ盛り、器の余白を残すと美しく見えます。中央が小高くなるようにすれば、よりおしゃれで美味しそうです。
お皿選びもテーブルコーディネートの楽しみの1つです。春夏は淡い色合いのお皿やガラス、秋冬は濃い色や土ものの暖かい印象の器を使えば季節感が出ます。
お皿の形や、質感も楽しみましょう。器使いはアイデア次第。京焼・清水焼にはそのアイデアに応える様々な技法や表現の器がありますよ。
兎に心をはずませて
最後に、ちょっと実践編です。
お月見をイメージしたナプキンの兎と、お箸袋を作ってみました。
このナプキンの兎、実際にやってみるととても簡単!
簡単な折り紙ですね。
本格的なテーブルコーディネートは難しくても、こういった簡単なことからなら始められそうです!
その後バリエーションを増やしていけば、表現の幅も広がります。
大切なのは「気持ちを込めること」。一緒に食べる人の顔を思い浮かべながら。
ご家族、お友達…参加された皆さんは、どんな食卓を思いながらつくられたのでしょう。
今日のワークショップで習った技法や心を振り返りながら、湯浅さんのサンプルコーディネートを見ると、また違った味わいが見えてきました。清水焼のテーブルコーディネート、奥が深いです。
「清水焼の郷まつり」に行ってみよう
京都市山科区清水焼団地周辺で、毎年、10月第3週の金、土、日に開催される「清水焼の郷まつり」。
今年も、10月19〜21日の3日間開催です。高級なものからお手頃価格のものまで、いろいろな器が並びます。
自分のお気に入りを、ぜひ、ゲットしてください。
「ちーびずマルシェ」もタイアップ開店。たっぷり楽しんでください。