あったかい気持ちが集まるコミカフェ「ハウス・このゆびとまれ」
4年前に住本さんがご自宅の一部を大改装して、「ハウス・このゆびとまれ」をオープン。けやき並木の大通りから、階段を2つ上ったテラスハウスのお庭がカフェの玄関。庭には住本マスターのパートナーである宮原さんが選ぶ季節のお花。ウッドデッキを通って、大きなガラス戸を開けると。。。「おはよう」の声。
お店に入ると、住本さんの大好きなレコード。「マスター、あれかけてよ」とリクエストが入ったりもします。コーヒーは、必ず注文が入ってから、豆を挽き、ゆっくりと香りを立てながらだしてくれます。
暮らしている人と共に
ここには、あったかい気持ちがたくさん集まります。壁にかかる絵や写真は、ご近所さんの作品ばかり。「ここに飾って」と持ち寄ります。レコードも、「ここで皆で聞いてもらえたら」と集まってきます。お庭の花壇も「使っていいよ」と、3年前から棉の木から始まって、季節のお花に野菜まで。庭の水やりのついでに、と住本さんが水やり。「使わせてもらっているし」と利用する人が草引きを手伝います。
名前のとおり「このゆびとまれ!」
他地域のニュータウン同様、高齢化、コミュニティの希薄化が深刻になるなか、まち開きから40年となる洛西ニュータウンは、住む人が自分たちでアクションを開始しました。
ここは「やってみたいな」「できたらいいな」と思っていることをカフェに集う人同士で実現していく、不思議なところ。「麻雀やってみたいけど、教えてくれる人がいないし」という方がいれば「わしが教えよう」と住本さんがメンバーを集めます。
「ウクレレやってみたかったんだけど」という声を聞けば、地域で得意な人が先生になってウクレレ同好会をつくります。
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ここがなかったら、どうなっていたか。
年齢を重ねると、足腰が弱くなってきたり、通院したり、と今までと同じ生活ができなくなってしまう方々が周りに増えてきます。友達が先に逝くのを見送ることも。
「一緒に山を登れる友達がいなくなってしまう」「お酒を飲む仲間がいなくなってしまう」と、そんな声を聞くと、住本さんは「一緒にいこか」とカフェの仲間に声をかけます。
「いってらっしゃい」「お帰りなさい」
「明日から旅行」と挨拶に来る人、「帰ってきたでぇ」とここに一番に立ち寄る人。お土産話はカフェの仲間と共有。「今月、お誕生日なんや」と誰かが言えば、「ここでしよう」と仲間が集う。「明日から透析なんや」と報告にきた男性には、「元気だしや」と、特別に鰻のランチを用意したり、と。
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ママさんに「もうちょっと経営のこと考えてください!」と叱られつつも。
そのあとこっそり私に「わしが、これできてるのも、ママのおかげやなぁ」と話すマスター。なんとなくそんなところにも、笑みがこぼれます。
一人暮らしやから・・
「わしも一人暮らしやから、その人の気持ちがわかるんや」と住本さん。
お正月、「こんな晴れの日は、一人暮らしの高齢者は一番寂しいんや。おせちなんか一人で食べても美味しくない」と、お正月もカフェオープン。ご近所さんも、いつものように「開いてるかなぁ、と思って」と来店。ふるまい餅もでたとか。
雨でも、大雨でも、台風がきても、必ず誰か来る。「私はここがあって、本当に良かった」と、はつらつとした笑顔で話す男性も。ここは、新しい仲間づくりが自然とできる場所にもなっています。
一人のために、から始まった「ヘルプ・このゆびとまれ」
2年ほど前、カフェに通う一人暮らしの高齢者の方が酸素ボンベをつけ始めました。カフェまで歩いてすぐの距離に30分もかかる。そのうち出られないようになってしまう、と思った住本さん。「彼のためにやりたいんや」と、ちょっとしたお手伝いをする仲間を募りました。そして2017年春、生活支え合いサービス「ヘルプ・このゆびとまれ」が始まりました。
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なんでも「タダ・無料」はダメ
生活支え合いサービスを開始して1年。口コミで利用する人が少しずつ増えてきています。電球交換、棚の組立、庭木の剪定からちょっとしたお買い物まで、依頼は様々。「ちょっと手伝ってくれたら助かる」というところをチームでサポートしています。
メンバーは主に65歳以上の高齢者。サービスを提供したあとには「ありがとう」の気持ちと、報酬が渡されます。僅かでも報酬があることで「仕事」として責任をもって取り組めること、年金生活で収入が限られている世代にとっては新たな収入があること、などが嬉しいと、皆さん生き生きとした表情で取り組まれています。
ちーびず応援カフェinハウス・このゆびとまれ
平成30(2018)年6月1日(金)午後1時30分からちーびず応援カフェが開催されました。当日は「親孝行に」と、宮原さんの娘さんが焼いたシフォンケーキで交流。「70歳をこえて、母親が一所懸命に取り組んでいることを、少しでも応援したい」と。
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ちーびずイチオシの、かんたん3部式ドリッコきもののお披露目に、女子たちは興味津々。男性も「私が小さい頃、母親が一人できものを着ていたのを思い出しました」と懐かしそう。
意見交換・交流会は、同じく生活支え合いサービスや居場所カフェを運営されている方からそのファンの方など。様々な地域活動に取り組まれている皆さんと、わいわいと賑やかに。
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会のあと、「楽しかった!」の私の一言に、「それやったら、成功やな」と住本さん。
応援カフェでも「このゆびとまれ!」とネットワークの輪が広がって、えぇひとときを過ごせたことに、感謝感謝でした!