配食サービスって?
配食サービスって聞いたことがありますか?
個人的には都市圏で、ご高齢の方向けの行政サービスというイメージがあります。特に、見守りが必要な高齢者に対し、食事のお届け時に安否確認を行うなどの付加サービスが付くことが多いようです。無論、行政自体がサービスを実施するわけではないのですが、委託業者に外注するという意味で、実態は行政が主体となった地域向けのサービスと言えます。
今回のブログ記事では久美浜でこの配食サービスを民間の事業として立ち上げ、軌道に乗りつつあるみんなのふる里さんの活動をご紹介します。
2016年10月、ちーびず応援カフェが開催された「みんなのふる里」さんの拠点&カフェ、「えんがわ」さんで取材を行いました!
本当に収支が合うのか?否定的な問いかけも多かった。
元々久美浜の出身で建築の設計などに携わっておられた安井さん。他の地域で働いておられた安井さんがこの地に戻られ、地域の社会福祉協議会などに参加する中で、高齢化する地域の中で食に関するサポートサービスが必要ということに気づき、立ち上げることになったのが「みんなのふる里」さんというわけです。
この立ち上げには従業員として瀬戸さん達も加わりました。
瀬戸さんも地域で暮らす中で「一人暮らしのおじいちゃん、おばあちゃん、一人暮らしの農家の息子さんなどは食事に支援が必要。一品でもその人たちに届けて、食事を一緒にするようなサービスができないか」と考えていたそうです。
ところが、前述の通り配食サービスだけで成り立たせるのは行政の支援がなければ至難の技というイメージがあり、周囲の方からは「そんなことをやっても、収支が合うのか?」といった否定的問いかけを何度もされたそうです。
そこで安井さんは収支のバランスを徹底的に計算した上で原価・売価をはじき出し、それだけでは普通にやっても合わない為に食堂として拠点を設け、営業を行うことで配食サービス以外の営業の柱を作ることで収益性を確保していくことにしました。
食堂が地域の人に人気
現状、安井さんの計算通り、この食堂の売り上げが配食サービスの売り上げを補填し完全に収支が合うまでもう一歩というところのようです。
京丹後市久美浜町友重地域には食事を取れる施設が少なく、久美浜市街まで出ていく必要がある為、地域の方々の集まれる場所になっているのでしょう。それと、初期は安井さんとしてはそばやうどんなど限られたメニューの提供で良いと考えておられたのですが、働いておられる方々のアイデアでメニューが充実してきたのが人気の秘密なのかもしれません。
サービスのレベルをきちんと考える。それが結局地域への貢献につながる。
そうやって運営していくうち、安井さんの中で結論としてたどり着いたのは、商売の基本とも言えることでした。
「サービスを受ける人とサービスを提供する人たちのレベルが合っていないといけない。一般的な給与が出せないようなサービスでは成り立たないし、逆にそれに見合うサービスを行わないといけない。お客様はそれに対して対価を払う。地域活性・社会貢献を考えるともっとそのことを突き詰めないといけない。それを突き詰めていったら、皆が必ず幸せになっていく。それをやっていったら地域活性につながっていく」
「心がまっすぐ向いて、弁当を届けるけれども、心も届ける。ありがとう、もったいないなぁという気持ちをサービスの提供側が持つことが大事。安いからそれでいいというものではない、質の高いサービスを提供していきたい」
お弁当の供給数としてはもう少し伸ばしたいのが現状という安井さん。でも、地域にダイレクトに貢献する中でそのサービスの目指すことが共感者を得て、今後も口コミで広がっていくだろうなと思いました。
「えんがわ」の場所はもともと田んぼだった場所。周囲も田畑に囲まれ、秋には黄金色の穂が輝き、初夏には水田に映る新緑が綺麗なのだとか。その向こうの集落や山並みまで見渡せる環境は確かに最高です。
二時間ぐらいぼーっとしたい。まぁ、それはいいとして、、、
「みんなのふる里」さんではこの地元の環境を活かし、訳ありであっても新鮮で安全でなものを提供していきたいということでした。「食は命なり」という言葉を現代のサービスに置き換えた「みんなのふる里」さん。今後の展開が楽しみです。