かやぶきの里 美山で絶品の「鯖のへしこ」 若狭から京へ鯖街道で発酵食を伝承

西の鯖街道  

 かやぶき集落からさらに車で10分ほど奥にある、下(しも)集落。若狭から京へ「鯖-さば」を運んだ鯖街道沿い。少しでも早く、早くと山を越えていく鯖街道は何本かあって、下集落を通るのは、八ケ峰峠を越え京北・弓削へ入り京の都へ通じる「西の鯖街道」の一つです。城址があり、戦国の世の伝承話があり、仏教布教のなごりの寺がありと、人がつないで750年ほどの歴史ある集落に、鯖の保存食が伝承されていました。

伝承食の持つ力  


 地域に脈々とある伝承食。その多くは究極のスローフードです。下集落の「鯖のなれずし」「へしこ」も然り。若狭の海から塩でしめた鯖を入手し、地元の米や糠で長期保存できる「発酵」食品に加工。ハレの日のごちそう、山里住民のたんぱく源、貴重な地域の収入源としても活躍。先人の知恵で生み出された「発酵」という日本食の技は、現在、さらなるパワーが解明され世界からも大注目の文化です。しかし、過疎化、高齢化が進む下集落の女性たちが「職」を求めて外へ出るようになると、時間と手間のかかる食文化は敬遠され、無くなりつつありました。

 

 

次代へ受け継ぎたい、自然と誇り  


 そんな時、「一人では難しいけど、みんなの力を合わせて、地域を元気にしよう」と立ち上がったリーダーが澤田さん、そして下集落の皆さん!  文化、農業、地域運営などを分担して取り組み始めました。その中でも、残したい、伝えたい、誇りにしたいとみんなの思いが強い鯖の伝承食。「特に伝承食に防腐目的で使う笹が獣害で減少して、もう絶滅に近い状態なんですよ」と言いつつ地域ビジネスにすべく奮闘中。 

秋の祭りに合わせて仕込む「鯖のなれずし」

 開いて塩漬けした鯖を塩抜きしてご飯を詰め、笹の葉と交互にびっちりと樽に敷き詰めます。途中で塩水を加え、約10日間発酵させて鯖のなれずしができ上がります。秋祭りの前に仕込んで、期間限定で販売。気候やいろんな条件で味も変わるという、難易度の高い発酵食です。「へしこ」は、丹後地域でも知られた鯖の糠漬け。山里美山のへしこも、なかなか絶品で人気です。「残したい、伝えたい。お年寄りの知恵と技。今に受け入れられる製品とするために費やした時間は10年。しかしその間、作業を通して地域の絆づくり、コミュニティの復活にもつながりました」と澤田さん。  元気な地域の大人たちを見て育つ子供たちがどんな成長をしてくれるのか、とても楽しみです。

関連ちーびずさん

chii-information
南丹市美山町下 下区食品加工所
TEL:090-2193-2088
澤田 利通
澤田 利通